こんにちは、獣医師の畔柳です。

 

今回は、犬のサマーカットについてお話したいと思います。

9月に入って朝晩が少し過ごしやすくなってきましたね。

とは言っても、昼間はまだまだ夏のような暑さが続いています。

 

暑い季節によくお見かけするワンちゃんのカットスタイルといえば、サマーカット！

犬の被毛を本来の長さより短く刈り込むカットスタイルは、見た目が涼やかになるだけでなく、毛玉などができなくなるため日常のお手入れも楽チンになります。

いつもと違うさっぱりした姿が可愛らしいサマーカットですが、実は気をつけなければならない点もあるのです。

その注意点をお話する前に、まずは皮膚の構造を簡単にご説明したいと思います。

 

皮膚は大まかに分類すると三層に分かれており、上から表皮、真皮、皮下組織となっています。

私たち人間の場合は、進化の過程で体の毛のほとんどを失っているため、外の環境に一番さらされる部分は表皮です。

一方、犬の場合は体の大部分が毛で覆われています。

毛は表皮よりもさらに外側にあって、体を守ってくれています。

毛に助けられているぶん、犬の表皮はぶっちゃけサボり気味！

そこまで真面目に働かなくても良いのか、犬の表皮は人間の表皮の1/3程度の厚さしかありません。

表皮が薄いため、バリア機能の強さは人間よりも弱いのではないかと言われています。

皮膚の構造から考えると、犬の場合は毛の存在は必要不可欠。

薄い皮膚を保護するために、犬は毛で覆われているということです。

 

サマーカットをすることで毛を必要以上に短くすると、夏の暑い日差しや紫外線を過剰に浴びてしまい、ただでさえ繊細な皮膚にシミができたり、炎症を起こしたりすることがあるのです。

そうなると、治療をしたとしても新しく伸びてくる毛の色が変わってしまったり、毛がなかなか生えてこなくなったりと、別のトラブルに繋がる可能性もあります。

サマーカットは絶対ダメ！ということはありませんが、うちの子に本当に必要なのかな？という意識を頭の片隅に置いていただいた上で、わんちゃんの色々なカットスタイルをお楽しみいただけたらと思います！

 

この他にも、何かお困りのことがありましたら、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。