『猫ちゃんの現代病”変形性関節症”のお話 〜 隠れ関節痛 に気づいてあげよう! 〜』
こんにちは、獣医師の中西 亮太です。
春が近づき、少しずつ暖かい日も増えてきましたが、まだまだ寒い日も多いですね。
寒い季節に多く見られやすい猫ちゃんの症状の1つに「関節痛」があります。
関節痛の代表的な原因は「変形性関節症」と呼ばれる病気で、徐々に関節が変形していくことで痛みを伴う猫ちゃんに非常に多い病気です。
「うちの子は全然痛がる様子がないから大丈夫」
そう思っていらっしゃる飼い主様が多いと思いますが、実は猫ちゃんの痛みのサインはかなり気づきにくいです。
そこで今回は”隠れ関節痛”の原因となる変形性関節症について解説していきます。
変形性関節症になっている猫ちゃんはどれだけいるの?
過去のとある調査では10歳以上の猫ちゃん228頭のレントゲン写真を解析したところ、60%以上の猫ちゃんで変形性脊椎症もしくは変形性関節症が見つかりました。
別の調査でも12歳を超えた猫ちゃんのなんと ” 90 % ” で変形性関節症が見つかっています。
「昔は猫ちゃんの関節炎なんて聞いたことなかった」
そう感じる方もいらっしゃるかと思いますが、実はその通りです。
今から30年前の1990年の猫ちゃんの平均寿命は約5歳でした。
猫ちゃんが動物病院に来る理由といえば、外傷や交通事故、感染症などが大半を占めていました。
しかしながら現在の猫ちゃんの平均寿命は約15歳。
驚くべきことに、ここ30年で10年も寿命が延びているのです。
猫ちゃんの平均寿命が伸びることによって、ご高齢の人と同じような病気が増えてきました。
変形性関節症もそのうちの1つで、まさに「猫ちゃんの現代病」と言えます。
変形性関節症で見られる症状は?
主に関節の痛み、違和感によって下記のような症状を示します。
ジャンプや階段の昇り降りができない、ためらう
動きや活動量の低下、隠れる
グルーミングの減少
触られるのを嫌がる
排便や排尿の粗相
遊んでいる途中でゆっくりになったり、休憩が必要になる
食欲の低下
睡眠時の姿勢の変化
このリストを見た時に、「これが関節痛の症状なの?」と思う症状がいくつもあると思います。
これがまさにこの病気の非常に厄介な部分で、猫ちゃんに多い病気にも関わらず、実際に変形性関節症と診断し、治療を受けている猫ちゃんはまだまだ少ないのが現状です。
ただの加齢のせいだと思っていたものが、実は猫ちゃんがずっと痛みを我慢しストレスを感じていたという可能性があるのです。
変形性関節症を診断するためのポイント
診断するために何より大事なのは、「ご自宅で猫ちゃんの行動変化に気づいていただくこと」です。
猫ちゃんは痛みを人間以上に我慢する動物です。
特に診察室では緊張しているので例え痛みがあったとしても、ほとんどの場合それを行動に出すことはありません。
私も日々の診療で実感しており、例えばワクチン接種の時にはチクっとするはずですが、微動だにしない猫ちゃんはとても多いです。
まずは飼い主様が猫ちゃんがリラックスしているご自宅で行動の変化が出ていないかを見ていただき、違和感がある場合は動画に撮って診察時に持参してください。
ご自宅での様子と触診で疑わしい部位があればレントゲン検査を撮影することで診断ができます。
変形性関節症のおすすめの悪化予防法は?
悪化を予防する方法としては体重管理、生活環境の改善、サプリメントの使用があります。
体重管理
変形性関節症の悪化要因として大きなものの代表が肥満です。
体重が重ければ当然その体重を支える関節にも負担が大きくなり、痛みも顕著になります。
痩せた方が良いのはわかっているものの、どうやって痩せればいいかわからないという方はぜひ診察時に獣医師までご相談ください。
生活環境の改善
ジャンプや高いところからの飛び降りなどの関節に負担のかかる動作が痛みの原因になってしまうため、変形性関節症の猫ちゃんの場合はこれらの行動を行う家具などを可能な限り撤去しましょう。
変形性関節症が原因でトイレの粗相をしている場合は、トイレの段差を低くしてあげることで、改善することがあります。
サプリメントの活用
関節炎による疼痛や炎症の緩和を目的として使用します。
サプリメントの何よりのメリットは副作用が少ないことが挙げられます。
関節疾患用のサプリメントは様々なものがありますが、私がおすすめしているのは「アンチノール」というω-3脂肪酸のサプリメントです。
使用されている飼い主様も多いのでご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、アンチノールはサプリメントでありながら、効果を実感される方が多いのが特徴です。
試してみたいという方がいらっしゃいましたらぜひご相談ください。
変形性関節症の新しい治療法がある?!
変形性関節症の治療の中心は痛みの軽減です。
痛みを抑えるお薬を毎日飲んでもらうことで猫ちゃんのストレスを軽減することができます。
しかしながら、猫ちゃんに毎日投薬するのは大変だと感じる飼い主様は非常に多いかと思います。
そんな方におすすめしたいのが、「ソレンシア」という新しい注射薬です。
これは変形性関節症で見られる痛みの神経伝達を抑えるお薬で、最大の特徴は「1ヶ月に1回注射することで効果が持続する」ことにあります。
このお薬であれば、痛みはあるけれど投薬が大変で治療を断念してしまった方にもチャレンジしていただける治療になると思います。
ソレンシアは当院で投与可能ですので、治療を検討されている方はぜひ当院までご連絡ください。
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