『健康診断における「異常」との向き合い方について』
こんにちは、獣医師の中西 亮太です。
気がつけば暑い夏も終わり、すっかり寒い季節になってきましたね。
私は毎年この時期になると人間ドックを受診しています。
幸いこれまで大病なく過ごしておりますが、頂いた検査結果には少なからず「異常」と診断されるものがあります。
ワンちゃんネコちゃんの健康診断でも同様に「異常」と診断されることがあります。
「異常」があることを知った時、ご不安な気持ちになられる方がいらっしゃると思います。
今回はこの健康診断における「異常」に関する向き合い方について解説していきます。
①健康診断における異常の検出率
2022年に行われた犬と猫の飼い主・ご家族412名を対象に行われた実態調査では、全体の27%で健康診断において病気や異常が見つかったという結果になりました。
7歳以上に限るとワンちゃんの40%、ネコちゃんの32%で病気や異常が見つかっています。
このように、健康診断で「異常」と判定されることは決して珍しいことではありません。
(Team HOPE<ペットの健康管理に関する実態調査>プレスリリースより一部抜粋)
②「異常」は「病気」とは限らない?
実は必ずしも「異常値」が出たからと言って「病気」であるとは限りません。
例を1つ挙げます。
血液検査項目の1つに「血糖値」というものがあります。
これは糖尿病の時に高い値を出すことが知られていますが、必ずしも血糖値が高いからといって糖尿病であるとは限りません。
特にネコちゃんの場合は「ストレス性高血糖」というものがあり、病院での緊張から血糖値が瞬間的に高くなってしまう子がいることが知られています。
もし健康診断で血糖値が高く出た場合、糖尿病や他の病気を疑う症状がないかを確認し、疑わしい場合は精密検査をお勧めしています。
このように、病気以外の原因によって異常が出ることもあるので、大切なのは「異常かどうか」ではなく「異常とどう向き合うのか」ということになります。
③当院での健康診断に対する取り組み
健康診断において異常が出た時、私は以下の内容に関して、知りうる限りの情報をご提供し「異常とどう向き合うべきか」についてお伝えしております。
・気にすべき異常なのか?
・異常の原因で考えられるものは何か?
・異常の原因を特定するためには何が必要か?
・異常が出た子は今後の日常生活で何を気を付けるべきか?
・異常を今後どれぐらいの頻度で再検査して確認すべきか?
また、当院の健康診断書では各検査の結果に応じて以下のようにA〜Eのランク付けをしております。
A:異常なし
B:軽度に異常はあるが、日常生活には支障がない
C:経過観察(時間をおいての再検査や疑う症状が出ないかの確認)が必要
D:精密検査もしくは治療が必要
E:既に治療中もしくは定期的に通院していただいている
(当院でお渡ししている健康診断書)
このランク付けの結果に一喜一憂してしまうこともあるかと思いますが、学校の通知表のようにオールAを目指すものではありません。
大事なのはワンちゃん、ネコちゃんの今の状態を認識し、今後注意すべきポイントを把握することです。
もし健康診断にご興味がございましたら、当院までぜひご相談ください。
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